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三度の飯と本が好き

好き好き大好き

 家に帰ったら、数日前に行った鎌倉文学館の特別展「リスペクト 好き好き大好き」の図録がポストに入ってた!やったーうれしい!これと同じデザインのチラシを目にした瞬間から、シンプルだしかわいいなーと思っていたので、表紙を見るだけでにんまりしてしまう。

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 鎌倉文学館、はじめて行ったのだけれど、静かなところにあって、建物自体もすごく素敵で、入る前から胸がどきどきした。天気が悪くて、海があんまりよく見えなかったのが残念…!晴れてたらもっときれいだったんだろうけど。

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 展示の内容については、何を言ってもネタバレになりそうだから触れずにおく。でもとにかく楽しかった。
 やっぱり、文学だろうと音楽だろうと絵画だろうと舞台だろうと、どんな分野でも、芸術家にとって創作活動のいちばんはじめにあるのは「大好き」って気持ちなんだろうと改めて実感した。そう考えると、19世紀ロマン派の音楽家たちを惹きつけてやまなかったベートーヴェンって半端じゃないんだな…。音楽史上最も (リスペクト的な意味で) モテた作曲家でしょうよ。尊敬されまくり、愛されまくり、神格化までされちゃってるからね (あまりに尊敬されすぎて、そのことが逆に後進の創作活動を抑えつけたフシもあるけど。シューマンとかブラームスとか) 。でも、そのベートーヴェンもモーツァルトへのリスペクトから始まってるわけだし。そのモーツァルトも父レオポルトやハイドンをリスペクトしていたし。更に…と、こんな風に、どんどんさかのぼっていっても終わりが見えないくらいの「リスペクト」が、芸術を支えてる。誰からも影響を受けずに何かを生み出すなんて、できないんだよな。
 この「リスペクト」の連続が最終的にはどこへつながっていくかって、芸術や表現することそのものに対する愛だと思う。愛とはちょっと違うような気もするな。欲求といえばいいのか、執着といえばいいのか。どうしようもなく魅せられてしまって、そのことしか考えられなくて、それがないと生きていけない…って、愛というよりは恋か。

 この特別展の期間は12月10日までなので、まだまだ続く。文学好きな人は行くと楽しめると思う。色々と考えながら観ていると、ほんとうに、じーんときてしまうよ。今も図録ぱらぱらめくりながら余韻に浸ってる。
 個人的には、里見弴→泉鏡花と、太宰治→芥川龍之介についてが印象的だったかな。太宰の話は有名だから知っている人も多いだろうけど、やっぱり実際にちゃんと見てみると、なんかほほえましくて、くすっとしてしまう。