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三度の飯と本が好き

なんでもない日

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 はじめて「ナイフとフォークをつかうおみせ」に連れていってもらったときのことをよく覚えている。たしか何かのお祝いだったんだと思う。

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 そのときわたしはまだ小学生で、1皿ずつ出てくる料理にも、椅子を引いてもらうことにも、そしてナイフとフォークを上手に使うことにも、もちろん慣れていなかった。でも嬉しかった。「お嬢さま」と呼ばれるのはくすぐったかったけど、特別な日にこんな場所に連れてきてもらえることが、とても嬉しかった。当時から食いしん坊で、なんでも喜んで食べるわたしを、それだけで周りの大人が褒めてくれることも、得意でたまらなかった。

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 時が経ち、わたしは大人になったから、なにも「特別な日」でなくともナイフやフォークを使うし、料理が1皿ずつ出てきてもびっくりしたりなんかしない。椅子を引いてもらって座るのはまだぎこちないかもしれないけど。それでもわたしは、そういうお店にいくたび、嬉しいし、やっぱりくすぐったいし、心のどこかには得意げににんまりしている自分がいる。

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 自分が世界でいちばん特別な女の子みたいに思えたあの頃とはだいぶちがうけれど、ぱりっと清潔なテーブルクロスを、ナプキンを、磨きあげられたカトラリーを目にするたび、ちょっぴり非日常感を味わっているのは今でも変わらない。

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 少しおしゃれをして、うきうきした気分で、レストランに足を運ぶ。ひとりでも、誰かと一緒でもいい。それだけで、ただの1日が特別な日に変わる。なんて素敵なことだろうか。

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 何の変哲もない、だけど特別な日、なんでもない日おめでとう!

(こないだセントレアのアリスダイニングでランチしたとき頭に浮かんだあれこれを お料理の写真とともにお送りしました)(デザートスタンドといちごビュッフェ付きでしあわせでした)