よむねるたべる

三度の飯と本が好き

あったかい気持ちをありがとう

 大好きな漫画の最終巻を読み終わってしまった。

甘々と稲妻(12) (アフタヌーンコミックス)

甘々と稲妻(12) (アフタヌーンコミックス)

 

 『甘々と稲妻』。妻を亡くした高校教師・犬塚公平と一人娘のつむぎ、そして彼の教え子の飯島小鳥が続けてきた「ごはん会」が、もう見られないなんて寂しすぎる。犬塚親子の2人、そこに小鳥が加わって3人、時には彼らの友人である小鹿しのぶや八木祐介たち…他にもたくさんの人が集まったにぎやかな食卓に、笑顔と涙をたくさんもらってきた。
 「誰かと一緒にごはんを食べるしあわせ」に満ちているこの漫画に出会えて、ほんとうによかったと思う。作者が描くつむぎちゃんの姿は、ただかわいいだけじゃなくて、子どもが子どもなりに悩みだとか、悲しみだとか、もやもやだとかを抱えていることを思い出させてくれる。自分もかつて子どもだったはずなのに、うっかり忘れてしまいそうになる、そういうことを。
 もちろんわがままを言うこともあるけれど、つむぎちゃんはいつだって一生懸命で、お父さん想いで、まっすぐで、いとおしい。そんなつむぎちゃんを見守り、愛情をたっぷり注ぐ周りの大人たちも、みんな同じようにいとおしい。

 毎回発売日を楽しみにして、大事に読みつづけてきた作品なのに、感想がうまく出てこない。どの話にも思い入れがあるし、それぞれ感想があるはずなんだけど!今はただ、あんなに小さかったつむぎちゃんが、まあこんなに大きくなって…というような、親戚のおばさんみたいなことしか言えない。でも、1人ではエプロンの紐をうまく結べなかった子がキッチンに立つようになった、このことに感慨をおぼえずにいられるだろうか。つむぎちゃんがすこやかに育っていく姿を、読者として見守れたことを嬉しく思う。
 犬塚家がこれからもずっとずっとしあわせでありますように。おいしいごはんをみんなで作って食べる時間が、いつまでも続きますように。